拙宅の東南側は中央通りと呼ばれ、田舎の住宅地にしては広い6m強の道幅を持っている。(短い巻尺で数回かけ6.4mと測定できたが、危険なので正確な測定ではない。「道路構造令」によれば第1種第3級小型道路並びに第2種第1級小型道路がともに3.25m、すなわち2車線6.5mである)。
その車道の両側に、これも比較的広い2.3m巾の歩道がついている。歩道には一定間隔で1㎡ほどの花壇がある。管理者がどこか、分からない。
私の地所には、その中央通・歩道との間に1m足らず巾で、ヒト(他人)の土地がある。つまりわが家は東南公道側を1m巾ベルト地帯で塞がれている。この土地は民間の所有者で、その人の名も分かっている。売って下さいとお願いしたがにべもなく断られた。私にすれば利用価値のまったくない土地と思うが、人様の理由は分からない。そんなわけでその土地は手がつけられなかった。草花も雑草とともに生い茂って見苦しかった。が、仕方なかった。道行く人は私をだらしない住人と思っただろう。

ところが昨年末、12月だったと思う。町内のボランティアグループの人が来て、電動草刈り機用の電源を貸してくれという。私はどうぞと外部コンセントの場所を教えた。そうしたら私の家横、ベルト地帯の枝・草を、きれいに整理してくれた。土地の持ち主ではない。ということは日常私がきれいにしても、持ち主は文句を言わない可能性がある。そんなら私が整理し、花を植えよう。文句言われれば抜けばいいだけだ。私のパフォーマンスの場にしよう。
もっともそう思ったのはごく最近、当該場所に、雑多なものが繁茂しはじめたからである。ヒトがみればどうみても、そこに建つ家の住人がだらしないと思うだろう。私は防衛しなければならない。
明らかな「雑草」は抜いた。不明なもの(今は何も咲いていないが何か咲くかもしれないもの)は残した。抜くのはいつでも抜ける。
そして何種類かの花を植えた。花のついているものもあったが、今は葉っぱだけの苗もあった。

道路の花壇にも(当然)雑草が生い茂っていた。拙宅横以外の「花壇」は、それぞれ何かの花が咲いている。どうも、1年住んで、この花壇も公共組織が手入れしているのでなく、最寄の家が世話しているのだと感じた。確認してはいないが、わが家の横だけに花がないのは、そう考えれば納得できる。
私は突然に名案が浮かばなかったので、とりあえず「雑草」を整理した。『手入れされた雑草花壇』と名づけた。



私は実は「雑草」が好きなのである。自宅にも雑草コーナーを設けてある。

これが6月10日のことである。
3日後、13日、帰ってきて驚いた。



町内美化ボランティアグループに、きれいに「美化」されてしまった。
ベルト地帯・ヒトの土地、そこへ私が植えたものも、花の咲いていない苗はすべて「雑草」に仕訳され、撤去された。私が花かも知れないと残したまだ咲いていない旧来のものも、すべて整理された。・・・

昨年は確か12月だった。この日は6月第2日曜日、ならば12月も第2日曜日が「美化ボランティア」活動の可能性がある。半年に1度なのだろう。そう仮定して、12月は心構えしよう。
    
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