2021.06.02
この花を、今か今かと待っていた。生きていてくれと念じていた。


ネジバナ。
どこにでもある花である。
だがこのネジバナには特別な思いがある。家族ぐるみでつきあっていたF氏邸に咲いていたものだ。それを貰った。
わが家ではソテツの鉢に植えた。その後地に下ろしたのだが、着くことがなかった。何度試みても、すべて消えてしまった。このせまくるしいソテツのそばでのみ、生き続けた。
横浜から徳島の春日野団地へ移ってきた。ソテツ鉢があまりに小さくなっていたので、ひとまわり大きいものに入れ替えた。そのときちゃんとネジバナ君が居つづけてくれることを願った。
F氏は私より年下だったが、「畏友」といえる存在だった。あまりにも若く、死んでしまった。だからこのネジバナは、大切なのである。
(このソテツはあえて小さい鉢で育てた。樹齢は20年以上である。強いといえば強い木だ)


    
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